ガイド

損害賠償条項は、どこを見ればよいですか

責任が生じる条件、賠償する損害の範囲、金額の上限の3つを分けて確認します。上限額だけを見ても、実際にどこまで負担するかは判断できません。

このガイドは、損害の範囲の考え方、上限の決め方、上限の例外と他の条項との矛盾の確認を順に整理します。

公開 2026年10月9日 最終更新 2026年10月9日 Nomaris編集部

損害の範囲

「直接損害のみ」で足りますか

民法は、債務不履行によって通常生ずべき損害を基本とし、予見すべき特別の事情による損害も対象としています。「直接損害」「間接損害」という契約上の言葉と、そのまま一致するわけではありません。

例えばシステム停止では、復旧費用、代替サービスの費用、売上の逸失などが問題になります。除外したい損害は具体化し、事故時に最低限確保したい費用が除外されていないかを確認します。

上限

上限は、何まで決めますか

「委託料を上限とする」だけでは、月額か総額か、複数の事故で上限が復活するかが分かりません。算定対象・期間・合計の単位まで決めます。

継続サービスにおける検討用の例は「本契約に基づく損害賠償の累計額は、最初の損害発生日の直前12か月間に本契約に基づき支払われた利用料の総額を上限とする」です。これは推奨額を一律に示すものではありません。契約初期は上限が小さくなるため、最低額や支払予定額を含める設計も検討します。

個別契約ごとか基本契約全体か、債務不履行だけか不法行為等も含むかも、条項間でそろえる必要があります。

例外と矛盾

上限の例外と、他の条項との矛盾はどう確認しますか

故意・重過失、秘密保持違反、知的財産権侵害などを上限の例外にするかは、損害の大きさ、対価、管理できるリスク等を踏まえた交渉事項です。例外を広げるほど、上限による保護は小さくなります。

消費者契約では、全面免責や故意・重過失による一部免責などに無効規制があります。事業者間の条項も、内容・事情によって有効性の検討が必要です。

修正時は「一切の損害を賠償する」という別条項や第三者請求への補償条項にも目を通します。責任上限がそれらにも適用されるかを明記し、返金・報酬支払義務と損害賠償を混同しないようにします。

テンプレート

関連テンプレート

対象条項と契約全体を示し、「受託者側で累計上限を設けたい」などの方針を伝えると、修正案とその理由を整理できます。相手方と合意した内容を最終版へ反映します。

よくある質問

「直接損害に限る」と書けば逸失利益は除外できますか

契約上の言葉と民法の損害の範囲はそのまま一致しないので、除外したい損害は具体的に書きます。あわせて、事故時に確保したい復旧費用などが除外されていないかも確認します

上限額は委託料の何か月分にすべきですか

一律の正解はありません。算定対象、期間、合計の単位を決めたうえで、損害の大きさ、対価、管理できるリスクを踏まえて交渉します。契約初期は上限が小さくなる点にも注意します

故意・重過失を上限の例外にするのは一般的ですか

交渉事項として、例外にする契約は多くあります。ただし秘密保持違反や知的財産権侵害まで例外を広げるほど、上限による保護は小さくなるので、何を例外にするかは対価と見合わせて決めます

自社の立場と許容額を決めて、 条項を直せます

受託者側か発注者側か、どこまでの損害を負えるかを伝えると、Nomarisが条項の修正案と理由を整理します。相手方と合意した内容は、そのまま最終版に反映できます。

本稿は日本法に関する一般的な情報です。法令の適用や条項の有効性は、取引の実態・当事者・契約内容によって異なります。記載例は検討用の一例であり、実際の契約条件に合わせた調整が必要です。

AIによる分析は法務業務を補助するものであり、最終的な法的判断ではありません