ガイド

業務委託契約は、まず何を確認しますか

最初に確かめるのは、契約が請負(仕事の完成が義務)か準委任(業務の遂行が義務)かです。ここで検収・報酬・責任の読み方が変わります。

そのうえで、業務の範囲、報酬と支払、再委託、知財の帰属、損害賠償の上限、解約、法令の適用を順に見ます。委託する側と受託する側で重点は逆になるので、自社の立場を決めてから読み始めます。

公開 2026年9月6日 最終更新 2026年10月12日 Nomaris編集部

チェックポイント

業務委託契約の12項目

請負か準委任か
請負は、受託者が仕事の完成を約束する契約です。準委任は、一定の事務処理・業務の遂行を引き受ける契約で、通常は仕事の完成そのものを約束しません。ただし、準委任でも成果に応じた報酬を定められるため、報酬の形式だけで契約類型は決まりません。完成義務の有無、業務の実態、検収や責任の定めを確認します。
業務の範囲と成果物
何をどこまでやるか、成果物は何か、追加の依頼はどう扱うかを書きます。範囲が曖昧だと、追加作業の費用と責任で揉めます。別紙に仕様を切り出すのが一般的です。
検収の条件と期限
成果物を受け取ってから何日以内に検査し、合格・不合格をどう伝えるか。期限内に通知が無ければ合格とみなす定めの有無。受託側は期限を、委託側は基準を確かめます。
報酬と支払サイト
金額(固定・従量・時間)、請求時期、支払期日を確認します。取適法が適用される取引では、給付の受領日等から起算する法定期間内に支払期日を設定する必要があり、支払手段にも制限があります。個別の取引類型に応じて確認します。
再委託の可否
受託者が第三者に再委託できるか、事前承諾が要るか、再委託先の行為について受託者が責任を負うか。個人情報を扱う業務では、再委託先の監督まで含めます。
知的財産の帰属
成果物の著作権・特許等が誰に帰属するか、いつ移転するか(納品時か支払完了時か)、受託者の既存の知財は留保するか、著作者人格権を行使しない旨。「別途協議」のままにしないことが要点です。
秘密保持と個人情報
業務で知った情報の秘密保持と、個人情報を扱う場合の安全管理措置・委託先監督。NDAを別に結んでいる場合は、どちらが優先するかを書きます。
損害賠償の上限
賠償の上限(委託料相当額や直近12か月分が多い)、故意・重過失の除外、間接損害や逸失利益の扱い。上限が無い、片方だけにある条項は最初に直す箇所です。
契約期間と解約
期間、自動更新、解約予告の期間、中途解約の条件と精算。長期の準委任では、解約予告を3か月程度に置く例が多く見られます。
契約不適合の責任
納品物に契約内容との不適合があったときの修補・代金減額・損害賠償・解除と、請求できる期間。民法の原則より短い期間が定められていないかを見ます。
取適法・フリーランス法
取適法は対象となる取引類型と当事者の資本金・従業員数等で適用を判断します。フリーランス法は取引先の属性や委託内容等によって適用を判断します。取引条件の明示、支払期日、発注後の条件変更などを確認します。
反社・準拠法・管轄
反社会的勢力の排除条項、準拠法、合意管轄。海外の相手方では英文契約になり、準拠法が州法、管轄が海外の裁判所になっていないかを確かめます。

法令

取適法・フリーランス法が適用される取引では

2026年1月1日、下請法は改正され、「取適法(中小受託取引適正化法)」として施行されました。対象となる取引は、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託などの類型と、委託者・受託者の資本金または従業員数の要件で判断します。従業員数の基準は、資本金基準が適用されない場合に用いられます。

対象取引では、発注内容等の明示、記録の作成・保存、法定の支払期日の設定などが必要です。また、受領拒否、代金減額、買いたたき、協議に応じない一方的な代金決定、手形払い等の禁止にも注意が必要です。適用の有無は、契約名ではなく取引の実態で確認します。

フリーランス法は、一定の個人事業者等への業務委託について、取引条件の明示、報酬の支払、就業環境の整備等を定めています。両法が適用される場合もあるため、発注先の属性や取引条件に応じて確認してください。

法令の内容は施行後も運用の見直しがあります。ここは掲載時点の一般的な説明で、個別の取引への当てはめは弁護士にご相談ください。

出典:公取委・取適法の概要/公取委・取適法の留意事項

再委託

再委託条項はどう書きますか

委託する側なら「事前の書面による承諾を得た場合に限り再委託できる。再委託先の行為について受託者が責任を負う」とするのが基本形です。受託する側なら、承諾を要しない範囲(関連会社、定型的な補助作業)を定めておくと運用が回ります。

よくある質問

業務委託契約と雇用契約の違いは何ですか

雇用は使用者の指揮命令のもとで労務を提供し、業務委託は独立した事業者として仕事を引き受けます。契約書の名称ではなく、指揮命令の有無や時間・場所の拘束といった実態で判断されるため、業務委託の形をとりながら実態が雇用に近いと、労働法の適用が問題になります

相手方のひな形で締結してもよいですか

構いませんが、相手方のひな形は相手方に有利に書かれています。上の12項目のうち、損害賠償の上限、知財の帰属、解約、再委託の4つを重点的に確かめ、直す箇所を絞って提案します

Nomarisに送ると何が返ってきますか

12項目を貴社の基準と過去の契約に照らして確かめ、修正案をWordの変更履歴で、相手方への返信文案と社内向けの要点とあわせて返します。取適法・フリーランス法の適用に関する論点の整理も含めます

相手方のひな形を、 そのまま送ってください

業務委託契約書を送っていただければ、12項目の確認と修正案、返信文案をお返しします。

先に資料で流れを確かめることもできます。

本稿は日本法に関する一般的な情報です。法令の適用や条項の有効性は、取引の実態・当事者・契約内容によって異なります。記載例は検討用の一例であり、実際の契約条件に合わせた調整が必要です。

AIによる分析は法務業務を補助するものであり、最終的な法的判断ではありません